スプリンクラー用のポンプ、どれを選ぶかで迷うことが多いです。選ぶポンプを誤ると「スプリンクラーの水が思うように飛ばない」ことがあります。
散水ポンプの選択で起こる一番の問題は、スプリンクラーを選ぶ前にポンプを選んでしまうことです。
ポンプ選びは次のように「散水を計画する手順」によって決まります。
そのため、ポンプから先に選ぶのは論外なわけです。
今回は、散水用のポンプの選び方について解説します。
今回のお話は、公共施設の管理者や設計事務所さんにぜひ学んでいただきたい内容です。
散水を計画する手順
散水を計画する手順は次の1~3です。
1.散水方式を決める
まずは、大雑把に予算と散水する方式を決めます。
散水方式は次の記事をご参考ください。概算工事金額も掲載しています。
散水設備を設置するために「予算」はどのくらい必要?
2.スプリンクラーのレイアウトを決める
移動式ではなく固定する方式の散水スプリンクラーの場合は、レイアウトを決めます。
ポップアップ式や着脱式は散水するフィールド内に設置し、ベンチ式や立上り式の場合はフィールド外に設置します。
3.散水する飛距離を算出
図面からスプリンクラーで何mの距離を飛ばすことが必要なのかを算出します。
例えば25m必要だとしましょう。スプリンクラーにはどの機種にも性能表が必ずあります。性能表に書かれているのは次のことです。
- ノズル口径
- 散水飛距離
- 水圧
- 毎分水量
性能表は通常、無風状態での工場検査値が記載されています。屋外で使用すると、スプリンクラーから飛び出す水が風で押し戻されてしまうため、実勢値と違うことが多いです。そのため、カタログに記載のある散水距離の80%掛けくらいが実勢距離だと思うとよいでしょう。
たとえば、カタログのデータ値で31~33mくらいの散水飛距離の記載がある場合、実勢値だと25mくらいの距離になります。
4.配管の中を流れる水圧ロスを計算
約2キロほどのロスが出るのが平均的な数値です。
実際の製品で「ポンプの必要圧力がどれくらいか?」を計算してみましょう。
弊社製品カタログの性能表をご覧ください。
散水半径(m)が32mの数値は下記のとおりです。
- ノズル口径 φ16
- 水圧 3キロ
- 散水量 255L/分
水圧が3キロですが、この場合、ポンプにはその分をプラスしておけばスプリンクラーの末端でカタログにある数値の圧力を確保できます。そのため、ポンプの必要圧力は5キロです。
ここから、ポンプを選んでからスプリンクラーを選ぶのではなく、スプリンクラーを選んでからポンプを選ぶのが適していることがイメージいただけるかと思います。
ちなみに、電動ポンプでよく使われているのメーカーは「荏原ポンプ」「川本ポンプ」「テラル」です。
手動やエンジン式のポンプはこちらのページをご覧ください。
低予算の場合はポンプを設置しない方法も検討
低予算の場合はポンプを設置せず、水道の圧力、水量を最大限に利用することを考えます。
この場合、散水の方式は移動式です。バルブから取水し、ホース接続により何度も移動散水を繰り返す方法です。予算に応じて小規模~中規模、バルブ数の増減で合わせていきますが、興味のある方はお気軽にご相談ください。
散水設備の設置についてご相談ください
弊社は、散水一筋59年の散水用スプリンクラー専門の会社です。
現場に合った散水機器を選定し、見積・販売しています。お気軽にご相談ください。