散水スプリンクラーを冬の凍結破損から守る方法


近年は暖冬が多くなりましたが、予期せぬ寒波により、東京でもマイナスの気温を記録することがあります。このような気候変動は、スプリンクラーの凍結破損リスクを高めるので注意が必要です。
春先のスプリンクラーを活用したい時期に、漏水の原因特定や修理の見積もり、日程調整に追われることは、計画に大きな支障をきたします。
特に、冬の間スプリンクラーを使用しなかった施設では、春になって使おうとした際に配管やバルブのひび割れを発見するケースが多く見られます。

凍結破損の原因と予防方法

水が凍結する際、体積は約9%増加し、その膨張力は配管やバルブを容易に破壊するほど強力です。
この現象は物理学の原則に基づいており、特に水が多く含まれるスプリンクラーシステムでは、凍結による破損リスクが高まります。

予防策としては、水を抜くことが最も効果的です。水が入っていなければ凍結も起こりません。

しかし、暖地や氷点下になることが少ない地域では、このリスクが軽視されがちです。
実際には、「たった1日」の寒波でも凍結破損は起こり得るため、予防措置は不可欠です。

スプリンクラーの冬季対策

冬季には、配管やホースから水を抜くことが重要です。
これは、凍結による膨張を防ぐ最も確実な方法です。

また、使用頻度が高くなる時期の少し前にメンテナンス契約を結ぶことも有効です。
これにより、凍結破損のリスクを事前に減らすことができます。

定期的なメンテナンスは、スプリンクラーシステムの寿命を延ばすと同時に、突発的な故障や破損から保護する役割も果たします。

凍結対策の具体例

配管に保温材を施工するか、自動排水弁(凍結防止弁)ADV25・ADV20・ADV15を設置することが有効です。


これらの自動排水弁は、散水をやめた際に配管内の水圧がなくなると自動的に水を排出する装置で、人為的なミスを防ぐために設計されています。

関東以西・以南の現場においても、これらの装置の設置は強く推奨されます。
装着しないことでスプリンクラーを全損する学校や施設もあり、その経済的損失は計り知れません。

万が一の凍結破損に備えてできること

散水の専門メーカーの製品を使用することで、凍結破損しても部品交換だけで済むことが多いです。
安価な製品を選ぶと、修理が困難になることもあります。
破損発生時は、止水バルブを閉じておくことが重要です。
これにより、さらなる水の流出を防ぎ、被害の拡大を防ぐことができます。

また、漏水箇所が目視できる場合は、写真を撮っておくことが重要です。
これにより、修理業者が迅速に状況を把握し、適切な対応を行うことが可能になります。

DIYが得意な方は、部品だけを取り寄せて自分で修理することも一つの選択肢です。
しかし、専門的な知識と技術が必要なため、安全性を最優先に考えるべきです。

まとめ

スプリンクラーの凍結破損は、予期せぬ寒波や気温の変動により発生する可能性があります。
特に暖冬と思われる年でも、一時的な気温低下によるリスクは常に存在します。
そのため、予防策の実施は、スプリンクラーシステムの長期的な保護と効率的な運用に不可欠です。

自動排水弁のような先進的な装置の導入、定期的なメンテナンス、そして適切な緊急対応計画の策定は、凍結破損のリスクを最小限に抑える上で重要な要素です。
これらの措置を講じることで、春先の忙しい時期にスプリンクラーのトラブルに直面することなく、安心して施設を運用することが可能になります。

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