コンクリート打設後の散水養生は、コンクリートの品質を保つために不可欠な工程です。このプロセスでは、生コンクリートの表面に均等に水を撒き、湿潤状態を維持することで、硬化過程での水分蒸発を防ぎます。養生を怠ると、乾燥収縮やプラスティックひび割れの原因となり得ます。実際、打設直後に散水養生を開始したコンクリートは、強度が高まることが確認されています。
しかし、現場の労働時間の都合上、打設終了後にすぐに養生を行わず、翌日に散水を開始することがあります。このような場合、蒸発した水分は取り戻せず、コンクリートの品質に影響を及ぼす可能性があります。
散水養生の基本
散水養生は、コンクリートが最終的な強度を発揮し、長期にわたりその性能を維持するために不可欠なプロセスです。コンクリートの打設後、特に初期硬化期間中に適切な湿潤環境を確保することは、品質管理上極めて重要です。この工程では、コンクリート表面に均一に水を撒き、表面が乾燥することなく、適度に湿った状態を維持します。この湿潤状態の維持は、コンクリート内部の水和反応を促進し、結果としてコンクリートの強度と耐久性を向上させることに直結します。
乾燥は、コンクリートの品質低下の主な原因の一つです。乾燥により、コンクリート表面や内部にひび割れが生じやすくなり、これが構造物の耐久性や防水性に悪影響を及ぼすことがあります。また、適切な散水養生を行うことで、コンクリート内部の温度上昇を抑制し、熱によるひび割れのリスクを低減させることも可能です。
散水養生の効果的な実施には、コンクリートの種類、気象条件、打設される構造物の特性など、多くの要因を考慮する必要があります。例えば、高温乾燥条件下では、散水の頻度を増やす必要があるかもしれません。また、風が強い場合は、水が蒸発する速度が速くなるため、より頻繁に散水する必要があります。
散水養生の方法
散水養生の方法としては、手動散水、自動スプリンクラーシステム、散水シートの使用などがあります。手動散水は労力がかかりますが、小規模なプロジェクトや特定の部分に対して適切な湿潤状態を確保するのに有効です。自動スプリンクラーシステムは、大規模なプロジェクトや一定の湿潤状態を長時間維持する必要がある場合に適しています。散水シートは、水分を長時間保持し、均一な湿潤環境を提供することができるため、特に初期養生期間に有効です。
散水養生は、コンクリートの品質を左右する重要な工程であり、適切に実施することで、構造物の長期的な安全性と耐久性を確保することができます。
適したスプリンクラーの選定
スプリンクラーの選定にあたっては、散水を行うコンクリート面の特性と現場の条件を綿密に分析する必要があります。適切なスプリンクラーシステムを選択することで、散水養生の効率と効果を最大化できます。以下に、スプリンクラー選定の際に考慮すべき主な要素を挙げます。
散水する場所の高さ
散水するコンクリート面の高さも重要な選定基準です。地上や低層建築物の場合は、比較的標準的なスプリンクラーで十分な場合が多いですが、3階以上の高さで散水する場合は、水を十分な高さまで送り出すために受水槽やポンプを使用する必要があります。高層建築物では、ポンプによって増圧された水を使用し、遠距離かつ高所まで水を届けることができるスプリンクラーが必要です。このような場合、可動式のブームスプリンクラーや高圧対応のスプリンクラーが適しています。
散水範囲と均一性
散水するエリアの広さと、そのエリア内での水分の均一性も考慮する必要があります。広範囲にわたる散水が必要な場合は、散水範囲が広く、水分を均等に分配できるスプリンクラーを選ぶことが重要です。また、特定の形状や障害物がある場所では、散水パターンを調整できるスプリンクラーが有効です。
環境条件
風の影響を受けやすい場所や、特に乾燥した気候条件下では、散水の効率を最大化するために特別な配慮が必要です。風に強いスプリンクラーや、蒸発を最小限に抑えるための低角度散水スプリンクラーが推奨されます。
これらの要素を総合的に考慮し、現場の具体的な条件に最適なスプリンクラーシステムを選定することが、効果的な散水養生を実現する鍵となります。必要に応じて、専門家と相談しながら、最適な選択を行うことをお勧めします。
弊社で取り扱う散水スプリンクラーをご紹介
弊社では、様々な散水ニーズに応えるため、幅広い種類の散水スプリンクラーを取り揃えております。
今回は、2つの製品を紹介します。
製品1:
水道蛇口が13A(一般家庭と同じ口径)で、散水場所の高さは2階以下、散水半径4.5m程度の場合にオススメな製品
使用している機器は次の通りです。
- スプリンクラーSK15
- 中型ベース
- 散水コントローラーSC-1型
- 電磁弁SSV20A
- ボールバルブ
- グリーンホース15A
製品2:
20㎜以上の散水栓から取水できる場合にオススメな製品
3階以上の高さがある場合は、受水槽、ポンプを使用して散水する必要があります。
散水半径は設置の高さ、ポンプからの距離等の諸条件により変わります。
散水養生の事例紹介
製品1の事例は、千葉市の某浄水場施設内のコンクリート打設に使われました。
千葉市の某浄水場施設内のコンクリート打設や、長崎県普賢岳付近の造成工事では、散水養生が効果的に行われました。特に後者では、「RCC splinkle」と名付けられた無人スプリンクラーが使用され、その先端技術が注目を集めました。
散水スプリンクラーについてご相談ください
弊社は、散水一筋60年の散水用スプリンクラー専門の会社です。
現場に合った散水機器を選定し、見積・販売しています。お気軽にご相談ください。